遊園地という名のアミューズメントパークはもう時代にはついていけないみたいだ。いわゆるかつての家族が子供たちを連れたり、恋に焦がれたカップルがファーストデートで選ぶような場所ではなくなってしまった。たしかに遊園地が築いた功績は大きい。だが時代の波に乗り続けるということはタフなものなのだ。そんな一世代前の雰囲気を残した遊園地はバンコクにもある。訪れたきっかけは、タイのインディー音楽シーンの祭典「CAT EXPO 2025」がこの遊園地で開催されたからだ。


エントランスを抜けるとスピーカーを通したバンドの演奏が微かに遊園地内に広がる。アトラクションの気配はまだない。週末の2日間、大きな敷地内に6つの舞台が設けられ、16時からタイのインディーミュージシャンやバンド、アイドルなどが、アンビエントやポップ、グルービーなファンクやロック、激しめのパンクまで広範囲なジャンルの音楽を真夜中近くまでノンストップで演奏する。また各アーティストが自由に物販を行なうブースエリアが設けられ、Tシャツやグッズを揃えたアーティストと気軽に写真を取ったり、会話を広げたりすることもできる。フードブースにはローカルなタイ料理が並び、スポンサーのビアやカクテルが並び、あちこちで気兼ねなく仲間と楽しむ空間が、音楽とよく調和する。夕陽が西に沈むと、夕焼け空のもと客足も徐々に増え、いつもなら閑静としている遊園地内が活気に覆われる。盛り上がったバンドの演奏と、ライトアップされたアトラクションから聞こえる叫び声が交差し、どこか懐かしさを含んだ感情のままビア缶を傾けながら演奏に浸る。そんな時間がしばらく続いた。

としての建物も今夜は演奏が響く。


ながら夜に歩く遊園池で聞く音楽は一味違った。
夜が深まるにつれて、アーティストの器量もあがる。ベッドルームに引きずられそうなゆるいタイポップの POLY CAT (@polycatband) が心地よく響き渡り、グルービーファンクが冴え渡る H2F (@official.h3f) が会場をロックオン。韓国からの客演や、日本から迎えた Kroi がそのスキルの高さと太々しさで圧巻し、KIKI (@kikidoyoumind) のトランスサウンドに乗ったバンド演奏が会場のヴォルテージをピークまで高めた。こうして初日は終わりを迎え、翌日は、午後の空高く飛ぶ鳥までもくっきり見えそうなほど澄んだ青空のもと、見晴らしの良い段差に腰を降ろし、夕陽が落ちるのを背中に感じながら、KHIANKHAILAEWANICH (@khiankhailaewanich) の伝統楽器を使った演奏に心を染めた。

観ていたなかでNo.1にオーディエンスを盛り上げていた。

流れる貴重な時間に思い出をゆっくりと包み込む。




主催はタイの音楽ラジオ「CAT RADIO」。インディーやユース世代にアンテナを張りラジオから日々アーティストを発信している、カルチャーにとっては不可欠な媒体のひとつだ。アジアンカルチャーのミッドポイントのタイでは、多様な音楽カルチャーがクロスオーヴァーに広がる。同じ音楽のジャンルばかりに飽きてきたと感じたなら、一度タイインディーに足を運んでみるのもいいかもしれない。