“ 俺はただあのキッズたちのようなエネルギーが周りに欲しいんだ。スケートボードにはそのエネルギーが必要なんだ ”
supreme video『cherry』filmer & director -William Strobeck-
いつ観返しても色褪せないフレッシュなスケーターたち。レンズを通した彼らの滑りが真っ白なキャンバスの街をアートに変えていってしまう。それは決して綺麗ではなく、心地よい存在でもない。そんな表面的なものではなく、キッズのエネルギーの根源を表現したような、そんな剥き出しの空気感がカメラ越しに伝わる。そこにはモノクロに写る街のクールなキッズたちや、レジェンドスケーターのエネルギーの塊が、バブルによって包まれているのを定かに感じる。
ゴンズがいて、ディルがいて、ディランがいて、アレックスがいて、そんなレジェンド勢が生み出した影が作りだす光を、まだ10代だったキッズたちは燦爛と浴びる。

SEan Pablo
『Cherry』の時は17歳。ラテン系をルーツに持つ。ビデオのなかで履いていた<conversE>が実際に彼らの目に留まり、ビデオの後彼らのチームに加わり世界を旅した。その後、シグネチャーのチャックテイラーもリリースしている。

tyshawn jones
2000年ブロンクス出身。<adidas>や<Louis viton> をも巻き込み、名を世界に轟かせ続けるタイショーンも、ビデオの中ではまだ13、14歳。それでもストリートでの存在感はすでに圧巻。ビルとはディルの紹介で知り合った。

KEVIN BRADDLY
西海岸らしいスタイルでいつもマリファナのブランツを加えてチルアウトしている様子からは想像もつかないほど、正確でダイナミックなトリックを次々と決める。ナケルと共に小さい頃から<IC>のビデオや、タイラー(Tyler, The Creator)と連んでいる。ストリートからのプロップスはかなり高く、ケビンに憧れるスケーターはかなりいるはずだ。

Sage Elsesser
セージも <Cherry>の後、<Converse>のチームと世界を飛び回った。ビデオの中で偶然出会ったセージとおじいちゃんとのやりとりがあり、おじいちゃんを優しく見守るセージが印象に残る。モデルやラッパーとしても活躍している。
「俺がフィルマーとしての道を選んで今までたくさんの場所をトラベルした。それが大切なポイントなんだ。それはかけがえのない時間であって、俺をクリエイティブであり続けさせてくれる。とても楽しいよ、ただ夢を掴めばいいんだ 」

ゴンズの目の瞳が好きだ。いつ観てもその目にはどこか純粋にものごとを眺める子供の目をして、大人の世界にいる人たちとはどこか違う。掻い撫でているようで堪能な絵を描き、スケート通じて街を煌びやかに表現する彼を、ニューヨークはいつも優しく迎え入れる。
『Cherry』でのゴンズは<Supreme>らしく、それでいて彼の個性が薄まるということもない。
そもそも “ Supreme らしい” とは? それは例えばスケートのフィルムとフィルムの間に展開される趣向の良いやりとりに現れる。街に写る瞬間の価値をわきまえていること、それが『Cherry』でそれが <Supreme> だ。

ビルがストリートで見つけたスケーターのひとり。他のスケーターとは全く違った彼はスタイルは、尺八を吹き、グローブをはめ地面を擦りながら、独特で卓越した滑りを見せる。彼がスポットを浴びたのもやはりビルを抜きにしては始まらない。

<Supreme>と育ってきたレジェンドのひとり。ビルとは昔からの馴染みで、<Fucking Awewsome>の創設者でもある。<CHerry>の中での彼は、何かある毎に F*** と怒りを口にしているのが笑える。滑りはもちろん抜群だ。

Dylan RYder
<Cherry>の2年後に28歳でこの世を去ったカリスマスケーター。彼のb/S HEEL FLIPからの B/S HEEL FLIP S/W でピクニックベンチを越えるクリップがきっかけで皆に火がつき <Cherry> を作ることができた、とビルがインタビューで言っている。
西海岸のスケートとは違う、90年代の映画『KIDS/キッズ』や <Zoo York > の『Mixtape』で魅せたような Hip hop カルチャーとスケートボードとの象徴としての表現が <Supreme> であり、 “ Moments of truth ” 瞬間を真実のものに変えた90年代の産物でもある。

” Respect youth. Youth are gettin reckless ” (若者をリスペクトしろ。アイツらには不満が溜まってきているぞ)
どのカルチャーにもエネルギーが存在して、『Cherry』の中にもまた存在する。そのエネルギーはどこから生れるのか? それはバイタリティーのある若者からだ。そのエネルギーの所産が、人々の心を動かしカルチャーとなり周りに広がってゆく。『Cherry』を観ていてそんなことをふと感じた。